彼女は夏の間、月に1・2回のペースで大沼にやってくる。
ひょんなことから知り合いになった私は、いつもわくわくしながら、彼女に同じ質問をすることにしている。
「今回は何をしていたんですか?」
その答えは、というと。
よく行く銭湯に行ったら常連さんから「お背中流しましょうか?」と声を掛けられたとか、ふきを摘んで煮てましたとか、干しぶどうでおこした酵母でパンを作りましたとか、それはそれは地元民かい!と突っ込みたくなるほどのローカル密着型の滞在を楽しんでいるのである。
「函館の中央図書館はステキですね。住所が函館でなくても借りれるんですよ~。しかもドライブスルー返却ポストがあるので、空港から帰る日にちょっと寄って返しやすいんです。」
「大沼の歯医者さん、丁寧に説明してくださっていいですね。今度から歯のクリーニングに通うことにしました。」
などなど、そのフットワークの軽さ、そして、おもしろいこと・楽しいこと・心地いいことを見つけるアンテナの張り具合には感心させられっぱなし、なのである。
普通の観光ではない、滞在型観光。
ガイドブックには決して載っていない楽しみ方。
そんな大沼の魅力を、大沼に住んでいる私達以上に彼女は知っている。
(南国育ち Y)